どうしよう。先輩に声をかけてみようか…?
座ったばかりなのにまた立ち上がる。
でもその時、
「ね、画用紙貸してあげるから隣座っていい?」
私の斜め上から声がした。
この記憶に残る低い声。
その声のした方を見ると、私の予想通り……美波來春。その人だった。
「…どうぞ」
「ん。はい、画用紙。何描くの?」
「あ、ありがとう…。まだ決めてないよ」
美波來春が座りながら話しかけてくる。
それはわざとなのか天然なのか、常にニコニコしている。
私もまたイスに座り直した。
目線が同じになると、彼がより近くに見えた。
まつ毛長い…
顔小さっ。男の子なのにずるい…
肌も何か手入れとかしてんのかな?