「な、何で?描こうよ!そりゃあ、私実力ないし私じゃ不満なのかもしれないけどさ、やってみないと分かんないじゃん!」
「……相羽さんが嫌とかじゃないよ」
「じゃあ、何で…」
しつこいかもしれない。
最近美波くんと仲良くなれて調子に乗りすぎてるのかもしれない。
でも、何で美波くんがそんなに断るのか分からない。
1人で描きたいならそう言えばいいのに…
「教えてくれないと、分からないよ…」
私がそう言ったっきり、私たちの間には沈黙が流れた。
美術室の時計の音、2年生の喋り声、鉛筆の音、全てが遠くでかすかに聞こえる。