「美波くん」



勇気を出して話しかけてみた。


……だが、全く反応がない。



しょうがないから、肩を叩きながら呼ぶことにした。



「美波くん」


「え!あ、相羽さん、どうしたの?」



肩を叩いたことでやっと私が呼んでいることに気づいたらしく、一瞬びくっと美波くんの肩が上がった。



「美波くんは…その…コンクール、もうどうするか決めたの?」


「んー…まだ。いい作品作りたいしね、ちゃんと考えないと」



美波くんはそう言っていつもの笑顔で笑った。


頑張れ、勇気を出せ、私!