「沢田さんにもプレーヤーやれって言われたんです。男扱いか!って感じです、ほんと」

言ったとたん、上野さんが豪快に笑った。ほんとこの人男っぽい。部活の先輩って感じ。

「沢田はミックスやりたがってるんだよ最近。知らない?フットサルって男女混合の試合あるんだよ」

「え?そうなんですか?」

「まさかあいつも男の試合に出ろとか言わないって。女の子いるとやっぱりいいよなぁとか散々言ってたよ」

「沙耶のことかな、それは」

別に拗ねているわけではなく、沢田さんは本当に私をあまり女子扱いしない。開発内で変に皆に気を遣われなくなって居心地いいんだけどね、それ。




「そうかな。俺は真奈ちゃん応援してくれてやる気出たよ。声かけるところわかってるよね」

「元マネージャーですから、上野さんのすごさはわかりますよ」

「また応援されたいなぁ」

「三上くんが誘ってくれたらまた行きますね」

マネージャーには誘わないでください、という意図が伝わるようにはっきり言ってみた。

三上くんの『また』はいつなのかわからないけど。私から声かけてみてもいいのかな。サッカー見たいって話なら変じゃないかな。




「ふーん、そっか。三上ね。あいつってイケメンだよね」

「男の人から見てもそうなんですね、やっぱり。私も最近気づきました」

上野さんはまた笑って「いいなぁ、真奈ちゃん。また飲もうね」と言ってくれた。

結局ご飯を食べるというより飲みだったから。

上野さんはお酒が強いみたいで、全く変わらなかったのでほっとした。急に酔うという感覚がよくわからない私は、お酒が弱い人と飲むのは難しいと思うことがある。

そう言ったら「沢田はすぐ酔うからなぁ。次も二人かな」と言われた。



よく考えると二人でまた飲みに行く約束をしたようで、もしかしてまずいのではないだろうかと後になって思う。

そういう色っぽい雰囲気はなかったと思うけど、残念ながら自分のことってよくわからなくて、意外な人に気に入られてることがたまにある。

それに、付き合ってはないとはいえ三上くんに悪いかな。うーん、でも飲みに行くぐらい気にしすぎ?

はぁ。相変わらずスッキリしない。