「でも私、結構最悪な断り方したことあって」
何喋ってんだろ、今日。でもこの際なんだかいろいろ話してしまいたい。
「ずっと仲良くしてた男友達に告白されて、友達だと思ってたのにひどいとか言っちゃったことあって。すっごい傷つけたと思う」
「いつ?」
「高校の終わりぐらい」
「もしかして、トラウマ?」
ああ、そうかな、そうかも。あんなことはしちゃいけないって思った。
付き合ってって大学の時言われて断れなかったのは、そのせいなのかな、と今更自分の行動に合点がいく。
三上くんがベンチの背に寄りかかって、体を伸ばした。何かまた考えている。
「今、オレも勇気出そうと思ってたところに出鼻くじかれたんだけどさ、結論は、片思いでも言っていい、ってことでいいの?」
「うん、そう。あの時私子供すぎてあんなことしちゃったけど、もういいのかなって」
「今なら言わなそう?」
「うん。私なんかでも好きになってくれる人がいたら、普通にありがとうって言えそう。ないけどね、そんなこと」
「じゃ、言ってもいい?」
声がちょっと変わった気がしてふと見たら、三上くんのきれいな顔が間近に合った。
「オレ、真奈ちゃんを好きになった」
まっすぐに目を見て、ささやくように言われる。