三上くんは横目で私を見て、苦笑している。

「真奈ちゃんが平内さんを好きだっていうのは、もちろんオレも知ってたよ?」

「そうなの?」

前に武田さんにもやめとけよって言われたことあるけど、そんなに皆にばれてるのか、私…

「だからさ、教えようかなって思ったんだけどさ、まさか告白したとか思わなかった」

「付き合ってる人って、社内の人でしょ?」

「それも知ってるんだ?」

三上くんには言いたくないなぁと思いつつ、ここまで来たら言うしかないと腹をくくった。

「私、邪魔しちゃったの、2人の。平内さんに告白するから応援してくださいみたいなこと、香さんに言っちゃたの。それで2人が変な感じになっちゃって困って。結局ちゃんと私が振られて、2人に仲直りしてもらって、うまくいったんだ」

自分勝手な困った女。そういう悪役を自分がやる日が来るとは、思ってなかったのにな。


「ああ、そうなんだ」

三上くんもさすがに驚いたようだった。

「ひどいでしょ、私。でも頑張りすぎてスッキリして、ちゃんと諦められた」

「真奈ちゃんらしいね」

今度は私が苦笑する。えー、私らしいと思われちゃうんだ、そういうことするの。でもね、後悔してないんだよ。

「あのね、振られちゃったんだけど、それでも好きでいてもいいんだなって思えたの。片思いでも、迷惑じゃないっていうか。好きになってよかったんだって」

三上くんは目を細めて、苦笑いみたいな顔をする。

「迷惑なわけないよ、勇気出して好きって言ってくれたらさ」