「私ね、平内さんに振られたの」

思わず言っちゃった。

「好きですって、告白しちゃったの。ダメなのわかってて」

三上くんが目を見開いた後に苦しそうな顔をした。

こんな道端で、何言ってるんだろう私。でも、三上くんのその顔を見たら止まらなくなった。

「ありがとって言ってくれたの。でも好きな人がいるからごめんねって。そのあとも普通にしてくれて、気まずくならないようにしてくれたの。他にいい奴見つけなって言われてね、でも平内さんがいいって言っても、嫌な顔しないでごめんねって」

こんなに全部言うつもりなかったのに、気づいたら一人でしゃべっていて、最後になぜか涙がぽろっとこぼれた。

「ごめん。来て」

三上くんは私にハンカチを渡すと、そのまま肩を抱くようにして近くの公園まで連れて行ってくれた。



公園のベンチに並んで座る。

「ごめんね。泣くつもりとかなかったのに」

ハンカチちゃんと持ってるんだ、さすが王子。

「頑張ったんだね、真奈ちゃん」

頭をくしゃくしゃに撫でられる。笑っちゃった。



私が泣き止むのを待って、三上くんがまた謝ってくれた。

「ごめんね、泣かすつもりじゃなかったのに。平内さんの話してからだまっちゃったから、まずいなとは思ってたんだけど」

「ううん。私が勝手に話して勝手に泣いたんだよ」

それにさっきは、平内さんに振られたことを思い出して黙ってたわけじゃないし。

「平内さん、付き合ってる人がいるみたいだって教えようかなと思って。でもかっこ悪いなそんなのって思ってやめたとこだった」

「え?」

そういう話?なんだぁ、そんなことか。と心から安堵する。三上くんの恋バナじゃなかった。変なこと口走らなくてよかったぁ。

「え、教えようと思ったって、なんで?知ってたの?」