「出ようか」
あらかた食べ終わった頃、突然三上くんが言った。
あれ?あとで追加で頼もうねってさっき言わなかった?やっぱりそこまでガッツリ系じゃないのかな三上くんは。
伝票を掴んで立ち上がると、さっさと会計を済ませて三上くんが外に出る。
バッグから財布を出そうとすると、止めるように腕を掴まれた。
「ごめんね。平内さんの話。なんか、今日へんな空気になったよね」
目を見て言われたせいでてんぱりつつ、ちゃんと答えようと思った。
「あ、あのね、私、別に驚かないから、言ってくれても大丈夫だし、それに口も堅いよ」
「何を?」
「平内さんのこと。ちょっと、もしかしたら、わかっちゃったかもしれないし。違うかもしれないけど。
何か言いたいことがあったんでしょう?」
違うかもしれない。仕事のことかもしれないし。
聞くの怖いけど、このままモヤモヤしたまま帰りたくないよ。
「まぁ、ね。でもいいよ。なんか、言う気なくした」
「平気だってば、本当に。言っちゃったほうがいいよ」
じっと見られた。やめてよ、そういうの。
「真奈ちゃん、何の話だと思ってるの?」
真顔で怪訝そうに聞かれて、私の自制心が限界を迎えたのがわかった。