「おとなしくて優しい子だと思ってたのに違った、って言われるの嫌だって言ってたんだからさ。強くて優しい子だってわかってくれる人がいいじゃん」

「別に優しくないよ」

「優しいんだって。マネージャーやってたときだってモテて困っちゃったでしょ。世話焼いてモテるタイプだよ、真奈は」

祥子とは高校のサッカー部マネージャーを一緒にやっていた。好きな人には好かれず、友達でいたい人には好かれるというループから抜けられない私の恋愛歴を知っている友人。



「で、真奈はどう思ってるの、その王子様のことは。先輩については吹っ切れたんだし、身近に仲良くなった人がいたらそれなりに気になるでしょ」

急にまじめになって祥子が聞いてきた。私を本気で気にかけてくれていることは知っている。生まれて初めてちゃんと告白したことも、褒めてくれた。



「楽しいよ、三上くんといるのは。でもマネージャーやってるみたいなものだよ、また。お世話してるようなもん」

いや、昨日は眠り込んでお世話をされている。でも、トータルで見れば異動で大変な三上くんのサポートをしていると言っていいでしょう。

「だーかーら、そういうときに好かれるのがスタンダードじゃん、真奈は。学べ、自分の人生から。もし告られたらどうするの」

「えー? もし言われたら嬉しいんじゃないの、わかんないけど」

「ほんと? それすっごい珍しくない? 真奈ってすっごい好きで挙動不審になるか、まったく友達かどっちかだよね、普通」

「うーん、そうかもね。でも友達のようで時々男の子っぽくて、不思議な人なんだよ。でも前の彼女もかわいくて料理上手だったみたいだし、私みたいのはタイプじゃなさそうだよ」

「でも、なんかあったらすぐ教えてよ。応援するから!」

皆、友達の恋には興味津々だ。沙耶にも同じようなことを言われた。

でも、祥子も知っている通り、そんなこんなで私にはまともな恋愛経験がほとんどない。もう24才だもんなぁ、まずいよなぁと思ってはいるんだけど。