引っ越しは、翌々週の土曜日に決まった。手伝うと言ったら、新居のほうにいて欲しいとのこと。

なんのかんのと引越しのことや新しい街のことなど、毎日のようにメッセージをやり取りしてる。

こんなに仲良くなかったはずなんだけど。連絡がないとどうかしたのかなと思ったりするようになってきた。

引越しまでなんだから、あんまり習慣にならないようにしないと。私の方が寂しくなっちゃいそう。




金曜の帰りに待ち合わせて鍵を受け取り、当日は私が先に新居で待っていることになった。

三上くんは引越し屋さんを見送った後、前の部屋を掃除してから電車で来る。



部屋について、電話をかけたけど出ない。しばらくして折り返しかかってきた。

「ごめん、気づかなかった!今トラックが出たところ。ありがとうね、真奈ちゃん。休みの日なのにね」

「大丈夫。今日でちょうどよかったよ。私明日は誕生日でね、友達がランチでお祝いしてくれるって言うから」

「そうなんだ。1日早いけど、誕生日おめでとう」

「ありがとう」

「じゃ、あとでね」


引越し屋さんのトラックが着いて、三上くんが事前に送ってくれた配置図に基づいていろいろ置いてもらった。

マメだなぁ、やはり。こういう図を作っておいてくれるところとか。助かったけど。

三上くんは、作業の半ばで慌ててやってきた。

「助かったー。1人だったら移動間に合わないよ、これ。結構大変だ」

「配置これでよかった?」

「完璧。さすがだね」

三上くんがさすがなんでしょ。

「どうせだから、一気に片づけちゃう?手伝うよ」

本類は後でやると言うので、私はキッチン周りを、三上くんはクローゼットを主に担当して段ボールを整理していった。

一人分の荷物なんてあっという間に終わる。

夕方に差し掛かる頃には、粗方片付いた。

「こんな早く終わると思わなかった。本当にありがとね、真奈ちゃん」

「どういたしまして」

「まだ早いからさ、俺なんか作ろうか? 一緒に食べてってよ」

今日はうちで食べる予定だったけど、もしかして人恋しいのかなぁ、新しい部屋で一人とか。お付き合いしようか。