式を終え、体育館の外に出ると何やら騒がしい。





正門の前に人だかりができている。





何ー?




ここからだと遠くて、何が起こっているかわからない。


キャーキャーと叫ぶ声しか聞こえない。



「櫻井!」

「!」


遠巻きに見ていると、正門の方から榊原が走って来た。




「来い!!」


「え!?」


榊原にいきなり腕を引っ張られ、正門に向かって走らされる。


「さ…榊原っ…何?」


「行けばわかる!」



正門前にできている人だかりの中へ、無理やり入って行く。





「挨拶できなくて寂しかったー!」


「心配してたんだよ!?」


「会いたかった!!!」


人だかりは、ほとんど女子生徒。


挨拶?


心配?


会いたかった?



飛び交う言葉を聞いていると、徐々に人だかりの真ん中にいる人物が見えてきた。




「…」



まさかー…



足が立ち止まる。



榊原が掴んでいた腕も離れ、今度は背中を押される。




「ほら、行って来いよ。待ってたんだろ?ずっと」


「…」



背中を押され一歩は踏み出せたが、足が動かない。