あの親がお金を渡していたなんて、驚いた。



"離れていた方が幸せになれることもある"って言ってたのにー…



陰では、母親らしいことしてたんだね。



なんか、少し嬉しくなった。



「マーナ!おはよう!」


学校の正門前で蘭と会った。




「何、嬉しそうな顔してんの?」

ニヤニヤと蘭が聞いてくる。


「え…ちょっとね」


「もしかして、圭吾帰ってきたの!?」


蘭の目がキラキラて輝く。


「…帰って来てないよ」


柳先生はあの日を最後に、いなくなってしまった。



柳先生のお母さんに聞いても、居場所はわからないと言われた。




「そっか…ごめん」

「ううん」

柳先生の処分はなしだったが、生徒たちは私たちが一緒に写っている写真を見てしまっていた。



陰でコソコソ言われたりもしたけど、その時はいつも蘭や榊原が助けてくれた。





だから、私は今日卒業式を迎えることができる。