"これが、現実なんでしょ?"
私は、母親に現実を見てと言った。
今、この状況で母親がそう言ったってことはー…
やっと、向かい合ってくれたってこと?
母親が入って行ってからは、職員室の中はさっきよりも静かだ。
どんな話をしているのか、母親がどうやって事情を説明しているのかー…
柳先生はどうなるのかー…
職員室の中へと入る勇気はなく、ただ廊下で立っているだけ。
現実を見てと言ったくせに、私は結果を知るのが怖くてしょうがない。
「…意気地無しっ」
震える手を抑えながら、職員室の扉に手をかけた時だったー…
「櫻井」
「!」
この声ー…
勢いよく振り返る。
「…やな…ぎ先生」
柳先生がいた。