向かった先は、母親のアパート。



「はぁ…はぁ…」

走ったせいで、冬なのに汗だくだ。


玄関前で息を整え、ドアノブを回した。



「お母さん…!?」


玄関で大声で呼ぼうと思っていたが、ドアを開けてすぐ目の前にいて驚いた。


「…何?あんたも?」

腕を組んで靴箱に寄りかかり、溜め息をつきながら母親が言った。


"あんたも?"って、他にも誰か来たの?


って…今はそんなことを気にしている場合ではない。



「もう…二度と会いたくなかった。けど、今日はお願いがあって来た」



睨み付けるように、母親と目を合わせた。





「柳先生が先生を辞めさせられるかもしれない。だから、一緒に学校に来て」


私が考えついたのは、母親に学校に来てもらって事情を説明してもらうことだった。



柳先生は何も悪くない。


悪いのは私たち、家族のせいだから。