部屋に入ると、ベッドの上に洋服を何着か並べてみた。



"姉ちゃんがいなくなった後も、母さんが洋服買って来たりした時期があったから"


その言葉を聞いて、お姉さんが柳先生やお母さんからどれだけ愛されていたかわかる。


こんなに家族から愛されていたのに、お姉さんはあっちの道を選んでしまった。


私は家族から愛されていないけど、その道は選らばなかった。



…柳先生がいたから。


柳先生と出会ったから、私はー…



コンコン。


「!」


ドアをノックする音が聞こえた。


「櫻井、そろそろ行ける?」


「あ!はい」

「先に駐車場行ってるから、戸締まり頼むわ」

「はい。わかりました」


慌てて洋服を選び、着替えた。


そして戸締まりを一通り済ませると、柳先生が待つ駐車場へと向かった。