「…そうですか…櫻井さんの気持ちはよくわかりました」

はぁっと溜め息をつきながら、校長先生が言った。


「櫻井!愛されてたんだなってどういう意味でー…」

「北川先生は少し黙っててください」

「くっ…」

校長先生が北川先生を制止させた。

一瞬だけ目を逸らした校長先生と、再び目が合った。


ドクン。


また、緊張が身体を走る。

ドクン。

ドクン。



「…柳先生」

「はい」

え…

視線をはずされ、次は柳先生の方を見ている。


「私は貴方をとても信頼しています。けど世間が知ったら、教師と生徒が一緒に暮らしているなんて懲戒免職ですよ。前に聞いた時には、覚悟はできていると仰っていましたが…今もその覚悟がおありですか?」

ドクン。


「はい。覚悟はできています」

「!」

思わず柳先生の方を見るが、ここからは柳先生の表情は伺えない。

柳先生がどんな表情で返事をしたのかー…



「そうですか…わかりました」

「!」

校長先生の深い溜め息。


校長室に緊張が走る。