「なぁ、圭吾」
「なんだ?」
「男2人と女1人でラブホに泊まるって、俺たちどういう関係だと思われてるのかな」
「お前、櫻井がいるのに何てこと言うんだ」
「いいじゃん、ぐっすり寝てるみたいだし」
二人でチラッとベットを見ると、泣き疲れてぐっすりと眠るマナの姿があった。
「さすがに濡れた制服を脱がすわけにはいかなかったから、そのまま寝かせたけど…風邪ひかないといいな」
ベットで眠るマナを見つめながら、柳先生が言った。
「生徒とラブホにいるなんて世間にバレたら圭吾、懲戒免職どころか逮捕だぜ」
「そうだな」
「…なんだよ、圭吾まで。なんか前の櫻井みたいな返事して」
「そうか?」
「櫻井が圭吾と一緒に住んでいる理由はわかったけど、何でそこまでして櫻井にしてやれるのかが俺にはわからない」
「…」
そう言う榊原の問いには、柳先生は答えなかった。
答えが返ってこないから、榊原は話題を変える。
「櫻井はもう大丈夫なのか?」
「あぁ…どうかな」
「どうかなって…」
「今は落ち着いているからいいけど、まだ根本的なものが解決してないからな」
「根本的なもの?」
「櫻井の中で一番大きな心の穴…それを埋めない限り、櫻井の心は不安定なままだと思う」
「大きな心の穴って?」
「それはー…」
両親に捨てられたという、大きな穴ー…