「圭吾の言う通り。さっきから俺の携帯の着信、すげぇぞ」
「!」
榊原から背後から自分の携帯を見せてきた。
着歴画面には、10分に一回のペースでかかってきてる。
蘭ー…
「櫻井」
今まで背を向けていた柳先生が振り返り、向き合った。
「櫻井が思っている以上…いや、その何十倍も愛されてる。俺や蘭、それに榊原にも。だから、不安になることはないよ」
「柳せんせ…」
優しい笑顔で、安心する声。
「櫻井は一人じゃない。だからもう、自分から一人になろうとしないで」
ぽんぽんと、髪を撫でる大きな手。
私から離した、この手。
私はもう一度、この手を取ってもいいんだ。