真正面から向けられる、柳先生の目線。

ドクン。


¨何でも見透かされているようなー…そんな目¨


「…っ」


息が苦しい。


「櫻井?」


そんな目で見ないで。


ドクン、ドクン。



お願いだから、閉じた感情を開かせないで。



今思っていることを言ってしまいそうになるからー…






「柳先生!!!そんなとこで何してるんですか!?」

ビク!


柳先生の手がパッと離れた。


暑いはずなのに、触れていた頬だけが離れた瞬間に冷たく感じた。


「いえ、何も…」

学年主任から隠すように、柳先生が前に立った。


「女子生徒と二人っきりでいるのは、どうかと思いますけどね!?特に、この櫻井という生徒とは!!」

ドクン!

どういうこと?


だって私たちのことは、学校公認のはずー…



「北川先生、そういう言い方はー…」

「柳先生、お忘れになったんじゃありませんよね?校長が言っていたこと!必要以上に、その生徒に近付かないこと!!!」

ドクン。

必要以上に、近付かないことー?



そんなこと、初めて知った。



ドクン。


「北川先生!やめてください」


「いいえ、二人とも自覚がないようですから言わせてもらいます!!事情が事情とはいえ、教師と生徒が一緒に暮らすなんてことは前代未聞ですよ!?校長が許したとはいえ、もし世間にバレたら柳先生は懲戒免職どころか…」

「北川先生!!!」


懲戒免職ー…


ドクン。


私のせいでー…



「いい加減にしてください!!」



私がいるからー…


「私は一般常識を言ってるだけで…」

「あんたは余分なこと言い過ぎなんだよ!!」




あぁ…やっぱり、私はー…



「上司に向かって、あんたとは何ですか!!?」

「もう黙れよ!」





一人でいなきゃいけない、運命なんだ。