夏休みが明けて一週間が経った。



「櫻井!」

学校の廊下を歩いていると声を掛けてきたのは、榊原だった。


「何?」


「え、あ…旅行楽しかったよな?」

そういえば、話すのは旅行以来だ。


「そうだね」

「本当に?」

「は?」

「何か櫻井、旅行の時からまた少し雰囲気戻ったよな?前みたいにー…」

ドクン。

「…変わんないよ、私」

そう言うと、再び歩きはじめる。


「ちょ…櫻井!」

その後を、榊原が追いかけてくる。


「なぁ、ちょっと待てって!」


進行方向を制止させるように、榊原が立った。



「何?」

その言葉と一緒に、思わず出てしまった溜め息。


「…また俺と付き合わない?」


「…は?」

「俺やっぱ櫻井が好きなんだ。いいだろ?前みたいに付き合ってよ」


「…」


前の私だったらー…




「あー!圭吾だぁ!!」


ドクン!!