学校は、夏休みに入った。

それでも、柳先生は毎日学校に行っているみたい。

柳先生のお母さんの捻挫も治り、最近は前よりも1時間ぐらい遅く出て行ってるようだが、やっぱ先生って大変なんだなー…って思う。


「ねぇ、聞いてる!?マナ!!」

「!…は?」

目の前にいる蘭が、バンッとテーブルを叩き我に返った。


あ、そうだ。今、蘭とランチしてファミレスでゆっくりしてたんだった。


「¨は?¨じゃないよ!旅行に行こうって話聞いてた!?」


「旅行?」


「そう。来年は受験でしょ?チャンスは、今年しかないじゃん!?」

「チャンスって…」

「圭吾と一緒に行くの!!旅行に!」

「え?」

柳先生と?

「圭吾ってば、去年担任したクラスの子達と夏休みに一泊二日で温泉行ったんだって!しかも、何故か保護者も同伴で」

保護者同伴って…

「だから、今年は私たちの番よね!?他の女子に予定入れられる前に、圭吾に電話しなきゃ!!」


そういうと、蘭はさっそく携帯で電話を掛けはじめた。



柳先生、旅行なんか行くのかぁ…
毎日忙しそうだけどー…


「あー!!何で出ないの!?もしかして、デート中?噂の彼女と」

「いや、今日は学校…」


って!

「マナ、何で知ってるの?」

「えー…」

毎朝、柳先生が¨学校行ってくる¨っていうのを見送ってるなんて言えない。