ドキン。
「納得できた?」
「!」
柳先生の顔がドアップで見えた。
「納得できないようなら、まだ話そうか?」
優しい笑顔で問いかけてくれる。
「…」
¨ううん¨っと、横に首を振ることしかできない。
ドキン、ドキン。
心臓がドキドキしすぎて、声が出ない。
「じゃあもう夜も遅いし、明日は学校だから帰ろうか?」
スッと差し出された大きな手。
「家に帰ろう。櫻井」
…本当に柳先生は、私の欲しい言葉を何でもくれる。
その手を恐る恐る取ると、ギュッと握り締められた。
「!」
その手はやっぱり、大きくて温かい。
ドキン、ドキン。
帰り道は、一言も喋らず家に帰った。