「柳先生に気を遣わせてばかりで…迷惑ばっかりかけて…」
「そんなことないよ」
「ううん。私が悪いのに、柳先生にいつも謝らせてしまって…」
「あれは、俺が悪いの。お前は気にしなくていい」
「私がいるから…恋人も家に呼べなくて…朝早く出て行くんでしょ?」
「…」
「私が彼女だったら、いくら生徒でも一緒に住んでるのはいやだし…そのことを考えると、私ここに居ちゃだめなんだって思ってー…」
「…ちょっと、待て」
抱きしめられていた身体が、離れた。
「何か勘違いしてないか?」
「…え?」
柳先生の思いもよらない返答に、涙が止まった。
「あぁ…そっか…あれは勘違いするよな…」
「?」
「俺も、否定すれば良かったんだけど…利用できるかと思って、そのままにしてたのが悪かった」
「?」
柳先生の独り言?に、頭の中は?でいっぱい。
「学校で流れてる噂だけど、あれ嘘だから」
「…う…そ?」
「朝早く出ていってるのは、仕事帰りのオフクロを迎えに行ってるからだよ。スナックを経営してるから、いつも帰るのは朝なんだ。先月、足を捻挫してからは俺が車で家まで送ってるんだ」
「…」
え?
「それをアイツらが勝手に勘違いして、熱愛発覚とかって面白がって噂流してんだろ。まぁ、俺もちょうどいいからそのままにしてたんだけど」
え…え?
頭の整理が追いつかない。
「まさか、そんな風に勘違いされてこんなことになるとはー…」
「!」
えっと、だから私は…恋人だと思っていた人が柳先生のお母さんでー…
朝早く出て行ってたのは、そのお母さんを送るため?
「…っ」
恥ずかしい!!
勝手に思い込んで、家を出て、泣いてー…
また、柳先生に迷惑かけてる。