なんで、ここがー…
驚きのあまり、声が出ないし動けない。
徐々に近づいてくる、柳先生。
「っ…どうして、ここが…」
やっと出た言葉。
「蘭に頼んだんだ。俺が電話しても、出ないだろうと思って」
あの電話は、柳先生が蘭に掛けるように言ったの?
「マンションにいなかったから嫌な予感がして、あちこち探したけど見つからなくて…ここに居たのか」
徐々に縮まっていく、柳先生との距離。
「っ…」
「櫻井、やっぱり昨日なんかあったのか?」
「っ…来ないで」
「榊原と何かあったのか?」
「来ないでよ…」
柳先生に聞こえているのかわからないが、距離はどんどん縮まってきている。
来ないでって思っているなら逃げればいいのに、足が動かない。
「こんなに目を腫らして…一人で泣いてたのか?」
そう言うと柳先生は、マナを抱きしめた。