「はぁ・・・はぁ・・・」
学校からマンションまで全力で走ってきた。
頼むから、部屋に居てくれよー・・・
祈るような想いで、櫻井の部屋のドアを開けた。
「さくら・・・い・・・?」
ドアを開けると、そこにいたのはー・・・
「あの・・・どちら様?」
中年の女性が驚いた表情で立っていた。
「え・・・あの・・・ここ、櫻井って高校生が住んでるはずなんですがー・・・」
「櫻井さんでしたら、先ほど出て行きましたよ?」
「出て行った?」
「はい。この部屋の契約は今月いっぱいだったんですけど、今日退居したいと言って」
「・・・どこに行ったかご存知ないですか?」
「さぁ・・・ここに置いてある荷物は全て処分してくださいとしか聞いてないので」
荷物を処分ー?
櫻井・・・!
「その荷物、しばらくそのままにしておいてください。後で取りに来るので」
「いいですけど・・・」
「お願いします!」
そういうと、急いでマンションから飛び出した。