あたしと萌以外はいない、放課後の教室。


二人とも黙ってしまえば、たちまちそこは静かになる。


なんとか今の思いを萌に伝えたいけど、いい言葉が思いつかない…。


そんなあたしに気づいてか、萌が口を開いてくれた。


「よく分からないけど…幼馴染みって、いいことばっかりじゃないんだ?」


ぐっと顔を覗きこんでくる萌の瞳は真剣そのもので。


自分のことじゃないのに、一緒に悩んでくれているのがすごく嬉しかった。


あたしは萌の言葉にこくっと頷く。


そう…幼馴染みだと、隣にいるのが当たり前になってきてしまって…


「恋愛対象として、見られない」


これは、もうずっと前から痛感してきた。


「はぁぁああ~……」

「柚~、よしよし。落ち込まないの」



はたしてどっちのほうがよかったんだろう…


幼馴染みとして出会って、恋愛対象にされないほうか、


ただのクラスメイトとして出会って、今みたいにたくさん話せないほうか…


その答えは分からないけれど、これだけは言える。


あたしたちの゛幼馴染み゛っていう関係が変わることは、絶対にないんだ……