「あら…」




いつの間にか目の前に座っていたお母さんがぽつりとこぼすように発した声に、意識がそちらに向く。



「鈴、もう食べないの?」


お母さんの心配そうな声にあたしは小さく息をのむ。


たしかに、鈴のお皿の上のトーストは少ししか減っていなくて。


これではあたしも心配してしまう。


悠真も鈴の異変に気づいたのか、いつのまにか手を止めていた。





「うん…食欲、ないんだ」


鈴が無理していることは、その寂しげな笑顔から感じられた。


でも、強く引き留めることもためわれて。


「無理…しないでね?」


結局あたしは、こうやって声をかけることしかできない。


それでも、少しはあたしも鈴の力になれているはず、なんて思ってしまうのはただの自己満足だよね。


そんなこと、わかっているつもりだったけど。


あたしの声は、鈴に届いてすらいないのかな。




無力なお姉ちゃんで、ごめんね……鈴…