そのとき、わずかだけれど視線を感じて。


そっと隣をうかがってみると


「っ」


いつからこっちを見ていたんだろう…


トーストをかじったままの悠真の瞳に、あたしが映っていることに気づいた。




「食わねぇの」


「えっ、あ…うん」


言われたことを理解するのに、少し時間がかかった。


真剣な顔して言うから、何を言われるのかとドキドキしたけれど、やっぱり悠真だな…なんて思いながら、くすっと笑う。


「ふっ」


そんなあたしを見て、悠真が小さく笑ったことには、気づかないままだったけど。




いつも元気な悠真は、見ていると元気をもらう。


幸せそうな姿を見ていると、こっちまで幸せを分けてもらったような気がするんだ。


あたしは、お皿にのったトーストを一口かじった。


「ぶっ。おっ前なぁ、一口小さすぎだろ!そんなんで味すんのかよ」


「えぇ!そんな小さくないよっ。てか普通だし!」


「いや、それは普通じゃねぇって…」


なんでそんなことで、っていうようなことでもあたしたちはよく熱くなって言い合うんだ。



それが、あたしたち。


今も、昔も……