帰り道。


あたしの隣に悠真はいない。


鈴が落ち着いた頃には、約束の時間を余裕で過ぎていた。


大遅刻だった。


悠馬がまだ屋上にいるとは思えない。


こんなにも帰り道を長く感じたことはなかった。


今何してるかな?


今日屋上に来てくれたのかな?


あたしのこと、どう思ってるのかな?


考えるのは悠真のことばかり。


明日…


明日、もう一度話を聞いてと頼んでみよう。


優しい悠真なら、いいよと言ってくれるかもしれない。


そんな淡い期待を抱きながら。



家に入る前、悠真の部屋を見上げた。


「あれ……電気点いてない?」


もしかしてまだ帰ってないのかな?


え、まだ屋上にいたりして…






「………いや、まさかね」


後悔することになるなんて思いもしないまま。


あたしは暗いままの悠真の部屋に背を向けた。