「お姉ちゃん怒らないでよぉ〜…っ」

「ご、ごめん、鈴…」


涙目になりながらあたしの制服の袖をぎゅっと握る鈴の手は震えていた。


この手を、あたしは振り払えない。


放って置けない。


鈴を置いて悠真のところへ行くなんて、できない。


鈴の震えが止まるまで、あたしは動かなかった。


小さな手をそっと握った。




鈴はあたしがそうするってわかってたのかな……