「本当の親はもうとっくに交通事故で死んでるって。
俺、びっくりしちゃってさ……。
でも、そんなに母ちゃんに軽蔑されたよりも傷つかなかった。
音羽が"居場所なら私がつくってやる!"とか、俺を支えてくれたおかげだなって今感じたから、お礼とか言いたくて……」
「和樹……」
胸が嬉しさと苦しさでいっぱいになった。
「なんで、嬉しそうなんだ?」
「やっと頼ってくれたから。
嬉しいもんだよ!」
「……ばか」
「私ね、和樹の笑顔見るのどんなことよりも好きなんだよね。和樹が苦しんでるとき、どうすればいいのか分からなかったけど、勝手に動いちゃった」
和樹がまた赤くなる。
「翔に楓と音羽、どっちが好きって訊かれて、答えられなかった。
けど、音羽が知らない人に告白されてるところ見てムカついた。
それで、音羽のこと好きって気付けた」
「そうだったんだ……」
「音羽、もう一回言うからよく聞けよ。
……好きだ」
和樹はクイ、とあごを持ち上げられて、
そのまま唇が重なる。