私が呼びかけて和樹はハッとなる。
その顔見て、白板を見た。
「やっぱり」
千里が小声でそう言い、私の方に振り返る。
何が?
とでも言うように首を傾げる。
「綾瀬、絶対今音羽のことが好きじゃない?
だって、前の人が綾瀬の机をトントン叩いても気付かなかったんだよ?」
「そんなのあるわけないでしょ!?」
反射的に言って、立ち上がってしまった。
……ヤバい。
クラスの視線が痛い。
視線なんてコンクールで散々受けるけどこれとは別。
……恥ずかしい。
千里なんて笑うのこらえてるし。
ムカつくんですけどっ!!
「な、なななんでもないです……
お騒がせしてすみませんでした……」
「おい、泉。やっぱ指名泉にするわ」
穴があったら入りたい。
私はがっかりしつつも答えた。