数学の授業が始まってしばらく。
和樹が嫌いな科目なのに珍しく起きてた。
それに喜んでいるのか、先生は和樹を指名する。
けど、和樹は廊下の方を眺めていて、
ぼーっとしていたのか聞こえてないようだった。
前の席の千里が私の方に振り向く。
「綾瀬に注意してあげたら?」
そうだね。聞いてないもんね。
楓のことでも考えてるのかな?
なんか地味にショックだ。
和樹の成績下がったら困るから注意してあげよっか。
私は頷くと、ノートに書き込む。
けどさ、そう言ってる千里が注意してあげればいいじゃん。
"私がしなきゃダメ?
頼んだってことはそんなにしたくないの?"
千里はそれを見て頷く。
千里和樹のこと嫌ってんのかな?
仲良くしてほしいけどな。
ま、いっか。
私が言ってあげようじゃないか。