「気のせいに決まってんでしょ!!」


「なら良かった」



音羽がさっきよりも更に真っ赤になって、うつむいちゃってるんだけど。


音羽って意外に可愛いんだよな。


テレビに映ってた時は"天才美少女ピアニスト"なんて言われてたし。


なのに音羽は全否定する。


謙遜か? って思ったら、本当にそうだとは思ってないようだ。



「あのさ和樹」



「ん?」



「もう和樹は恋……とかしないの?
楓以外の人選べないとかってある?」



「いきなり何言い出すんだ?
……んーまぁ、わかんねーな。するかもしれないし、しないかもしれない」



「そっか」




音羽はほっとしたような顔をしてた。




学校について朝練が始まる。



「和樹ー!! 頑張って!」



「!?//」



音羽が明るい笑顔で教室の窓から俺を呼ぶ。


恥ずかしさのあまり、顔が熱くなる。