「私の親友。アイツが物心つく前に2人とも交通事故で亡くなった」
「うそ、でしょ……」
私は絶句した。
「ね、わかったでしょ?
本当の子供じゃないの。私の息子はアイツの兄。アイツが友也の命を奪ったのよ!」
「それじゃあ、空気のように扱われたって」
「そうよ! 友也の命をたった1人の息子の命をアイツが奪ったのよ! だから、その罰よ!! ご飯もあげてるしそれで満足でしょ? 誰もあんなヤツ必要とされてない」
必要とされてない……?
私の中で何かが弾けた。
「……ふざけんな、ふざけんな!!」
「はっ、どうした」
「和樹が今までどんな思いをしたか考えたことある? 確かに自分の息子を亡くすのは、悲しいよ。でも、だからって和樹だって1人の人間なの!」
「それで?」
「誰も和樹を必要とされてないって?
私は少なくとも和樹を必要としてるの!
たった1人しかいない存在をあんなヤツだって言うな!!」
「……言いたいことはそれだけ?」
「まだ言われたいんですか?
数え切れないくらいありますよ」
「あんたは何が言いたいの?」
「……和樹はまだ高校生なんです。
未成年です。子供です。だから、誰かを必要としています。友達とは別に家族を築きたいと言っていました。
それに、引き取った時点であなたは保護者、家族なんです! 家族なりに責任取ってくださいよ!」