「……ばか。でもサンキュ!」
和樹はまたくしゃっと笑ってくれた。
「……楓、大丈夫。私やるからね!」
青空を見ながら呼びかける。
和樹を笑顔だらけにさせてやる。
いつかは言うから、今は言わない。
カタチにして伝えて失うのが怖い。
それに、和樹はまだ楓を想ってる。
カタチにするほどそんな簡単な想いじゃないしね。
「……よしっ!! 公園行こう!
ボールは私の家から取りに行けばいいよね」
「たまに音羽はとてつもなく強引だよな」
呆れ顔で口にする和樹。
「別にいいでしょ! だって、和樹がやりたいって言ったんでしょ? 私が遊び相手してあげる!」
「ふっ……余計なお世話」
楓に会いたいっていうミッション達成!
私は前を向いてて気づかなかったけど、
和樹がそんなことを言っときながらも、
悔しいぐらいに、とびっきりの笑顔が太陽に照らされていたのだ。