服汚れちゃうけど、見逃すよ。
「楓……。行くなよっ!
俺のそばにいろよ……っ」
「……っ」
和樹の楓への想い。
嘆いてる和樹を見ると、心が苦しくなった。
でも1つ言いたいことができた。
「和樹、もう楓はいない。
あんたが一番よく分かってると思う。
楓、最後なんて言ったか分かる?」
「幸せだよ……?」
和樹は首をかしげる。
「今あんたは幸せ?」
「見たらわかるだろ」
「だろうね。
でもさ、楓後悔してなさそうだったよ。
自分のやりたいことが出来たから。
和樹、何かやりたいこと、ないの?」
「楓に会いたい。……母ちゃんと話したい。
サッカーだってしたい!」
「たくさん出たじゃん! じゃあ、今からやるか! サッカー苦手だけど大目に見て!」
「はっ……? 何言ってんだ?」
唖然としている和樹にお構いなしで私は和樹の腕を思いっきり引っ張って、和樹の家から飛び出した。
好きなことがあって、やりたいことがあって良かった。
和樹の幸せな顔、笑顔を見れるためには好きなことさせようかなっていう私なりの考え。
私、あんた笑顔見られるなら何だってしてやるから。