「音羽ちゃん」



「えっ、あっ、はいっ!」





「これ、楓の病室の棚で見つかったものなの。良かったら読んで」



楓のお母さんにそう言われ差し出されたのは、手紙だった。



そこには綺麗な字で"音ちゃんへ"と書かれている。



「これ、楓が……?」



「そうみたいね。和樹くんの分もあるから渡しといてもらえるかしら?」



「はい、いいですよ」



「ありがとう音羽ちゃん」






軽く会釈してから楓のお母さんと別れた。




私は近くの公園のベンチに座って、楓の手紙を読み始めた。