「へへっ……和樹くん、大好き、だよ……
あのね、和樹、わ、たしのこと、忘れて?
辛かったら……忘れて。……ぉねがい」
呼び捨て気づいてくれた……?
こんな時に呼んじゃった。
「楓! まだ生きるんだろ!!」
「音ちゃん、最期に、会えてよかった。
……大丈夫だよ、もう音ちゃんは孤独じゃないよ。私たちがいるよ……」
「……っ! 行かないでよ……っ!!」
「音ちゃん……泣かないでぇ……。
千里ちゃん、桐島くん、白坂くん……本当にありがとう。会えて嬉しかったよ……。
ママ、パパ。親不孝でごめんなさい。
こんな私を愛してくれてありがとう……っ」
「ねぇ、楓! お願いだから生きてよ!」
「私は幸せだよ……!」
私は小さく笑って、目を閉じた。
「楓ー……っ!! 返事してよっ!!」
病室に音ちゃんの叫び声が響いた。