和樹のことせっかく忘れられたのに。



でも、お母さんと和樹に非はないからよしとするか。




「そうだね。今度伝えるよ」



私の番がそろそろ来る。



行かなきゃ。



「じゃあ、行ってきます」



「音羽に何が起きてもお母さんは音羽の味方だから! どんどん楽しんで!」



「うん! 優勝するから!!」




世界規模だけど、お母さんの応援だったらなんとなくそんな気がした。



いつもは緊張でガチガチだけど、今回は自然となくなった。




『次は泉 音羽さんの演奏です』



英語で放送され、私はピアノの方へ歩き出した。