「音羽が行ってからだいぶ経った時にね家に男の子が来たのよ。とはいえイケメンでとてもかっこよかったわ。
名前は確か、和樹くんだったわね……」
えっ……? 和樹が……?
「その人音羽の気持ちとかいろいろ知ってるみたいで、お母さんに話してくれたの。
音羽の居場所がわかるならせめて応援してあげて下さい! って。
土下座されて驚いたけど、彼女想いのいい子だなぁーって思ったわ」
「彼女!? ないない絶対ない!!
第一、和樹彼女他にいるもん!!」
手で必死に振って全否定した。
「すっかり音羽の彼氏だと思っちゃったわ」
「まじかよ」
「それで、和樹くんが今度音羽と会いたいって。お母さんそれを言いに来たのよ!
それと、音羽とまた話したくて……」
「それだけ!?
ってか仕事はどうしたの?
今の日本中って平日でしょ……」
「有給もらったわ!
これでしばらくここにいられるわ!」
しばらくここにいるって……つまり、
「コンクール来んの!?」
「あら、悪かった?」
「いや、そういうわけじゃなくて……」