桜が満開に咲き誇る4月───
今日から高校生になる私、泉 音羽(イズミ オトハ)
「行って来ます!」
お母さんに声をかけてから出ると、誰かが家の前に立っていた。
「なんでこんなとこにいんのよ……」
「べつにいいだろ?高校同じなんだし、それに……」
「はいはいわかりましたよーだ」
「ぜってーわかってねえな」
その誰かは綾瀬 和樹(アヤセ カズキ)。
和樹は中学からの友達でもあって、
私の……好きな人でもあるの。
けど、本当は同じ高校ってことだけでも死ぬほど嬉しいのに素っ気ない返事をしてしまう。
素直じゃないっていうのは私のことだ。