そして、旅立つ前日。
私は留学に必要なものを買いにショッピングモールに行った。
無事に買えて、電車に乗って、帰る時。
「音羽?」
「……和樹、どうして……」
「音羽いたから声かけただけだけど」
明るい声をだして、伸びをする和樹。
和樹の顔見るのは1週間ぶりだった。
「和樹、おめでとう。楓と付き合えて」
「ありがとう。楓から聞いたよ。音羽が背中押してくれたって? 本当に音羽には感謝しきれないわー!」
いつの間に和樹は楓のことを下の名前で呼んでた。
和樹は照れくさそうに頬をかく。
あぁ……失恋したんだ、って思い知る。
なんだか、和樹が遠くの人に見えて、手を伸ばしても届かない存在のように見えた。