まだ驚いた顔を崩さないシュリに、桜は言う。

「シュリさんが王都に来れないなら、私に会いに来れないなら、私がシュリさんに会いに行きます。馬に乗って」

「桜……」

「その時は、シュリさん。また一緒に遠乗り行きましょう。今度はあなたの隣で、並んで走ります」

「………」

「だから、元気でいてください。私が会いに行くまで待ってて」

もう一度、シュリの手を握り、桜は精一杯を言葉にした。

はあっ、と大きなため息をつき、シュリは天を仰ぐ。

「……っ何なんだよ……いつまで、どこまで好きにさせんだよ……」

小さく小さく呟く。

「………じょーだんじゃねえよまったく、頼むぜホント、桜……」

「え?」

桜が怪訝そうな顔をすると、また彼女の目を見て頬を染め、少し眉を下げてはいたが、いつものように大きな笑顔を向けた。

「ああ!ありがとうな。待ってる」

やっと見ることのできたシュリの陽のような笑顔に、桜は泣き笑いのような表情になった。