シュリは微笑んで、首を振る。

「何言ってんだ、俺がした事だ。言っただろ。俺の選択だ、後悔しないって。それより」

優しく、その大きな両手が桜の黒髪をなぞり、白い頬を包む。

「良かった……桜………元気になって。それだけで、もう俺は十分だ」

自分と同じ心情なのだと察して、アスナイは少し目を細めた。

「シュリさん、王様に何て言われたんですか。重い刑だったんじゃ……」

震える彼女に笑って、くしゃっとその髪をなでた。

「いや、王都武官の身分から地方武官への転任と、王都からの永久追放だ」

桜とアスナイから、同時に息が漏れた。

「ありがとな、桜。お前が必死に王に請願してくれたんだろ」

だが、桜は涙をこぼしながら頭を振る。

「ごめんなさい、シュリさん……私がシュリさんを巻き込んだから……王都武官じゃ、なくなって……王都にももう帰れないなんて………」

すると、シュリは声を立てて笑った。

「おいおい泣くなよ。マジでこれ、奇跡みたいに軽い処分なんだぜ」

アスナイもそっと近寄り、桜の背中に手を置いた。

「そうだ、桜。ほんとならこいつは今頃、鳥の餌になってる。我が君の仁徳と、お前の熱意の賜物なんだ」