信じられない気持ちで、固まったまま主君をただ見つめる。

「地方武官として任じられた後は、また一年目扱いからの勤務となる。重々、武官としてのその身の責務を心に刻み、二度とかような愚かな真似をするでないぞ」

「………ありがたきご温情……生涯忘れません」

震える声を絞り出し、頭を床につけた。

しばらくその姿を見ていたが。

「この武官と予だけを残し、後は一時退出せよ」

人払いをした。

皆一度礼をして、ゾロゾロと部屋を出ていく。

シュリを見張っていた近衛が戸惑っていたが、再度王がヒラリと手を振ると、仕方なく一礼し踵を返した。

不思議に思いながらもシュリがしばらく頭を下げていると、

「シュリ」

いきなり自分の真上で、王の声がした。

驚いて顔を上げた次の瞬間。


――バキッ!!


骨を打つ音とともに、左頬と鼻に衝撃が走り、シュリは横に体勢を崩して倒れ込んだ。

「ぐっ」

口に、鉄の味が広がる。

拳を震わせながら、荒い息をついて王はシュリを強い目で見据えた。