それからなんとなく、二人とも無言だった。
恭介は静かにギターを弾いている。



…と思うのと同時に、恭介の口が開いた。



「…なぁ、優香」


「な、何?」


「明日、絶対来て」


「え?」


「絶対に、四時までにここに来て。お願い」



真剣な目を向けられて、圧倒された。
恭介がここまで真剣に、私にお願いをしたのは初めてだった。



なんでなんだろう。



「なんで四時までなの?」


「…なんでも」


「…分かった」



理由が全く検討つかない。
でもそう言われたら、来るしかないじゃないか。



恭介はそれだけ言って、何も言わずにその場を去っていった。


初夏の嫌な蒸し暑さだけが、私の周りにまとって離れなかった。