ワンピースを着た後は、なぜか首に両手を回し、僕を外してネックレススタンドにかけた。


「……ありがとう。ずっと、私の傍にいてくれて」


 彼女はその人差し指で、優しく僕を撫でた。そして、僕にそう告げると、静かに部屋から出て行った。

 ねぇ、ほたる。どこに行くの? 僕を置いて、どこに行こうとしているの?
 もう朝だけど、まだ日は昇っていない。誰もがまだ眠りの世界にいる時間だよ。
 そんな恰好をしてどこに行くの? 今日もとても冷えそうだ。寒くてきっと、凍えてしまう。


――いろいろ話したいことがあるのに、やっぱり僕は、君に何も伝えることが出来ない。