どう頑張ったって、ほたるは母親に愛されることが出来ない。そうはっきりと言葉にしていた。そんなことは、僕だって分かっていた。

 ほたるがいくら頑張ったって、どうにもならないってこと。きっと優子さんだって、知っていたはずだ。
もしかしたら、ほたる自身だって、気づいていたかもしれない。


 でも、それでも、ほたるがここまで頑張ってこられたのは、その現実を誰も彼女に伝えていなかったからだ。誰も、言葉にして彼女に伝えていなかった。

 真実を突きつけられていなかったからこそ、彼女はまだ希望があると信じて、努力し続けることが出来たんだ。


――でも今、もう、彼女はどこにも希望はないと知ってしまった。