「ほたるちゃんが謝ることなんて一つもないのに……本当にほたるちゃんは優しいね」

「そうかな? そんなことないと思うよ?」

「ううん、私、ほたるちゃんみたいな人に初めて出会ったよ。そんなほたるちゃんになら……秘密を話しても大丈夫かな」

「秘密?」

 ほたるの心臓がトクンと跳ね上がる。秘密ってなんだろう。石ころの僕もちょっとだけ気になった。


「私、昔から、人には見えないものが見えるんだ」

「人には……見えないもの?」

 奏は道の途中で立ち止まった。目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をする。そして、隣で足を止めているほたるの顔をまっすぐに見つめる。


「幽霊」

 彼女ははっきりとそう言った。秘密を聞いたほたるは一体どんな表情をしているのだろう。

 僕の体みたいに目をまん丸にして、驚いているのかな。